ここでは、適合OSの構造およびメンタルモデルについての説明と、実際の事例を動画と共にご紹介します。

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HMTでいう「適合OS(オペレーションシステム)」とは、
「一人の人間の内的世界が外側の現実を創り出している」という原理に基づき、
現実に起きている事象がどこからどのように創りだされているのかを可視化した、
一人ひとりの内的世界の構造です。

適合OSは、世界と分離して生まれる個が、世界に対して適合し、そこで受け入れられることで生存していくことを目的に、一人ひとりの中に幼少期にその原型が作り出されます。
幼少期から成人へと発達・成長するに従い能力は向上し、その行動は複雑化しますが、一旦確立した適合OSは変化しません。まるで、プログラムを元にアプリケーションが動き、一定のアウトプットを生み出し続けるコンピューターの仕組みと同じように、外側に起きる一定の現実というアウトプットを生み出すOS機能を人間は完全に無自覚に内在化し、自動化されたそのシステムの中で生きているのです。

生存本能が創り出した痛み分離のための信念「メンタルモデル」と
それに基づく痛み回避メカニズム

人間は、個として分離した固有の肉体を持っている以上、誰もが「痛みを感じる」という絶対に避けられない体験をしています。
「痛み」の体験とは、「自分の内側でこの世界にあるはずだと思っていたものが、自分が生まれたこの世界にはない」という欠乏・欠損の体験です。

この世界に生まれたあらゆる人間が絶対にあるはずだと思いたいもの、欲しいものは、
「自分はありのままで愛される」という無条件の愛に対する信頼と、
「絶対的なつながりがある」という自分の居場所やつながりを感じることから得られる安心感です。
ところが、このあるはずだと信じていたものが「ない」という痛みの体験が、必ず小さい頃にやってきます。

「あるはずなのにない」という衝撃、痛みを身体で感じるその瞬間、
そこには様々な感情が溢れます。
怒り、悲しみ、戸惑い、パニック、恐怖…

これらの感情を感じ続けると痛みが続くので、その不快感をなんとかしよういう衝動が、
思考を使って自分と起きた事象を切り分け、その痛みが起きた理由づけをすることによって、この痛みから自分を切り離す、ということが無意識で起こります。
その時に、世界や自分に対して「判決」を下す無自覚な信念「メンタルモデル」がつくり出されます。

この無自覚な信念「メンタルモデル」に基づく適合OSが一旦出来上がると、それ以降の人生はその時の痛みを2度と味わうことのないようにどうしたらいいのか、という痛みを切り離すための信念に基づく「回避行動」で埋め尽くされていきます。

回避行動には、痛みを感じなくていいように何かの努力によって防ごうとする「克服型」と、
その痛みに一切触れることがないように、痛みを体験する機会そのものを避けたり、どうせ〇〇だから、と割り切って触れないようにする「逃避型」があります。
どんなに正しく、素晴らしいと思う行動をしていても、実際にはこの適合OSが見えていない間は、痛みを回避するための回避行動しか本当には人生でやっていることはないのです。

不本意な現実を生み出し続ける
メンタルモデルに基づく「適合OS」

全ての人が、全く無自覚に創り出されている、痛みの回避を目的にしたこの適合OSの中に生きています。
このOSに気づかないまま生きる上で最も残念なのは、この回避行動から作り出される現実は、回避したいと思っていた痛みを再生する「不本意な現実」であるということです。

それは、「やっぱり〇〇なんだ(〇〇にはその人の痛みを切り離すための信念が入ります)」というメンタモデルに基づいた体験です。

どんなに卓越した回避行動を取っていたとしても、必ずメンタルモデルから生み出される不本意な現実が何らかの事象として自分の人生に起こります。

OSのアプリケーションとも言える回避行動は能力の向上と共に卓越していきますが、
このOSが成長の過程で限界を迎える時期になると、

この不本意な現実が徐々に無視できなくなるような事象に発展し、より深刻なものにエスカレートして、それでも自分を見つめなおせず同じ回避行動を取り続けると、破綻や崩壊とも言えるような結末を招きます。

「痛み」は現実創造の「情熱」

何がこの世界に「ない」のかという固定化された世界における欠損の「痛み」は、その痛みを感じる人固有のものです。
その人が持っている、何がこの世界に「あるはず」なのかというその痛みの裏に、あるはずだと信じていた世界を創造することへのその人固有の「情熱」が表裏一体で存在しています。

無自覚な生存適合OSを理解し、この痛みを観ることできるようなると、その痛みは情熱へと転化します。
人間は誰もがその情熱から、本当にはあるはずだと自分が信じていた世界を現実的に創り出す「創造者」として生きることができます。

 

メンタルモデル・適合OSを紐解く(事例)

あるセミナーで、参加者Aさんが自分の適合OSを理解する過程をご紹介します。

起きている不本意な現実から適合OSの構造にしたがって自分の痛みを紐解き、自分の痛みから自己理解を深めていきます。

Aさんには、以下のようなことが起きています。
「Aさんは経営者で、自分の片腕となるような人を採用しようとしています。ぜひ来て欲しいと思っている人がいるのですが、その人が来てくれるのか、来てくれないのか返答をくれない状態が1ヶ月続いています。」


<以下、動画書き起こし>

参加者Aさん(以下「参A」)、由佐美加子(以下「由」)

由)源(ソース)から見るっていうやり方をするんですけれど、紐解き方として使ってる構造があります。
これはひたすら人の相談に乗って整理している過程で見つけた構造なので、理論とかどうっていう感じではなく、これを使って紐ときますっていう感じで使っているフレームワークなんです。
不本意な現実は必ず内側から生み出されているという考えに立脚しています。実際に本当にそうだと思っている。人間って必ずどんな人にも必ず根っこに痛みがある。痛みってどんな感じかって言うと、ちっちゃい頃に「この世界にはあるはずのものがない」って思った。これが痛みです。
さっき言っていた反応しちゃうっていうのは、体験としてあるはずのものがないというこの痛みに触れちゃうんですよね。その時に人間は何か反応を起こすというふうになっている。
私たちはちっちゃい時に、この痛みを味わった時にいろんな感情があるんですけれども、そのことをちゃんと扱えないままその痛みを必死に切り離さないといけないので、ここにその痛みと切り離すための概念的な信念を持っていて、これが人によって固有の一つの根っこみたいになっている信念があって、これを私はメンタルモデルと呼んでいます。
これが今、T塾でTさんが大好きでやってるやつですけど。これはメンタルモデルがありきではなくて、これを紐解いてるうちに人間の信念というのはこういう風になってるんだなって分かってきたものを類型化する形に今はなっているんですけれども 。
こういう信念があって 、これができた瞬間に人間はこの信念に基づいて何かの行動を起こしていて、一個はこの痛みをなくすように努力して克服すると言う克服的にやっている行動と、この痛みがあっても仕方ないから、それはあるものとして割り切ろうというように、なるべくそれを避けていくという逃避、割り切り、諦めも含めた逃避とういう2種類があります。
この結果、不本意な現実が生まれているという風にして現実を紐解きます。

Aさんが言ってくれたやつが面白いから(それで紐解いて見ようと思います)。そういうのも全部これで見えるんですよ。
さっきのエピソードって、明らかに「そいつが優柔不断だからそうなってる」じゃないですか。このレンズで見るときは、Aさんがそれをつくり出しているっていう観点で見るんです。だから、それで紐解いてみると面白いかなって思うからやってみるんですけど。
不本意な現実は何?

参A)不本意な現実は、こっちがその人に来て欲しいと思うのに、なかなかイエスと返事をしてくれない。

由) 来て欲しい人がイエスと言わない。そうですよね。
それが今その人の話になっているけど、「来てほしい人にYESと言わせてない」と捉えます。(笑)
そんなわけねーだろうって思ってるんだけど、一旦そういうふうに見てみてって言うだけだから、真に受けなくていいです。
「YES と言わせてない、自分が」。「言わせてない」っていう、その人を言わせてない何かの行動を(自分が)とっている、と見るんです。
言わせてないを自分がつくり出しているとしたら、どんな行動をとっているっていうふうに思います?
ちなみにこの言わせてないのが、基本的にはベストだって無意識は思っているって捉えてください。これも不思議な感覚なんだけど。顕在意識はそんなわけねーだろうって思ってるんだけど、起きていることは最善だと捉えるので、レンズとして使う時はAさんの中にある何かに対して「完璧に合理的にこれが起きている」というふうに捉えます。
この言わせてないのが一番良い事が起きている、要はその人が決めてないということが自分にとって最善で、そのために何かやってるんだって捉えます。仮に。真に受けなくていいんだけど。それを正しいとしないでほしいんですけど。でも、言わせないために何してるんだと思います?例えば、さっきも出てたんだけどね。

参A)例えば…、給料のこととか。今の職場より低いとか、具体的な話ですけど。

由) それを言ってる、言ってない?

参A)給料の事は言ってます。今めちゃくちゃ忙しくてこれくらい、うちに来たらそんなに忙しくないけどこれくらいになる、っていう話はしました。

由)本当のことは言ってるんだね。 OK。 じゃあ言わせてないために、それを言っているわけじゃないよね。

参A)そうですね。

由)言わせてないにつながっていることで、何をしているのかを見て欲しいんですよ。
イエスってその人が言えない状況をつくり出しているはずなんです。
例えば一か月待ったじゃないですか。何があります?
何で1ヶ月待った? 行動として出ているのは1ヶ月待った。逃避活動だよね。そういうふうには思ってないと思うんですけど。一週間後にあれどうなりました、とか言わないんだよね。 1ヶ月待ったじゃないですか。
1ヶ月待ったのには、何があるんですか?
1ヶ月待ったよ、だって何?

参A)1ヶ月待ったのは、逆にこっちがせっついて、拒否されるの回避した。

由)「せっついたら拒否される」って思ってるんだよね。
せっついたら拒否されるんだよね。だってなんだから?
これも思い込みだって捉えます。全部思い込みだって捉えるんだけど(笑)。自分が何かプッシュしたら拒否される、っていう感覚があります?こうしてとか、もっとこうしたらいいじゃないとか、強く出ると拒否される可能性があるって思ってます?

参A) そうですね。だから拒否されないために、例えば「この前はこれくらいの給料だって言ったけどもうちょっと給料高かったら来てくれる?」っていうような話をすると、逆にいやがられるんじゃないかなとか。

由)これ(「拒否されたくない」)だよね、動かしてるの。どうです?
なんで拒否されたくないの?

参A)めちゃくちゃいい子で、うちにとって必要な子で、来てくれたらうちがもっと活性化される。

由)そう、それが顕在意識の理由なんだけど、拒否されたくないから色んなことやってるはずなんですよ。

参A)はい、そうです。

由)そうだよね。採用するためにやってるんじゃなくて、拒否されないことをやってるんだと思うんですよ。わかります?
だから、これ(「拒否されたくない」)が何かの根っこにあるだろうなって見立てます。今の中で言うと。
拒否されたくないから、何してる?
待ってるよね、一個は。で、本当のことは言わないですよね。本当は早く決めてほしいんでしょ。早く決めてほしいって言わないでしょ。なんで?
拒否されるからだよね。 拒否されるということに関して、その人だけじゃなくて自分のもっと根っこの方にこれ(「拒否されたくない」)に対する恐れを持ってます?人に拒絶されるとか拒否されるとか言う感じの。何がありますか?

参A)やっぱりそれは怖れがあります。

由)そうだよね。この辺に近いもの(痛み)があるんですよ。 この事象を、人に拒絶される、拒否されるっていうのが何らかの怖れになっている可能性が高い、って見立てます。
これが正しいって言ってるつもりはないから、「どうかな?」って自分の中で感覚を探って欲しいんです。

これどこから来てます?
人間って痛みの回避のために何でもやるので、例えこの採用活動の顕在意識がその人を取った方が良いと思っていても、採用しようとする代わりに拒否されないようなことをやってるはずなんですね。だって拒否されたくないから。その人が、採用されることを断る、「おたくの病院には行けません」って言ったら自分は拒否された、拒絶されたという体験になる、(つまり)痛みだと認知しているから。
だから、それが起こらないようにすることが精一杯で、その人を採用しようとはしてないということが現実に起こるんです。防ぐ方で精一杯ってわかります?痛みを何とかしようとする方に一番意識が持っていかれるように人間はなっているから、それで不本意な現実ってだいたい起こるんです。痛みの回避の結果起きているのが不本意な現実なので。だから、 多分決めさせてない。拒否されない時間を延命させてる。

参A)だから、そういう自分のことも分かってきたから、数日前に受容じゃないけど、長いこと迷われているのはよくわかってますと(伝えました)。
「人生の大事な決定だからよくわかります。もし、迷われている原因が何かあったらもう1回お話とか要望とか要求とかをしていただいたらいいと思うんですけど」というところも数日前にメールしたんですけど。

由)だから、その拒絶・拒否されないための一環として、「尊重する」を使ってるよね。

参A)あぁ、なるほど。

由)どうですか?

参A)はいはいはい。

由)「うちの病院待てないので決めてください」って言わないですよね。絶対、言わないと思うんですよね。認知として、これ(「拒絶・拒否される」)がやってくるって思ってるから。
だから、尊重するっていうふりをしてるけど、実際はこれ(「拒絶・拒否される」)を回避してるだけっていうことが動いているかもね、って見立てるんです。

で、結果起こってくるのって何だと思います?これ(「拒絶・拒否される」)から動いてるから。

参A)拒否される。

由)そう、結果拒否される(笑)。

参A)そうなんですね(笑)。

由)まずこれ(「拒否される」)がやってくる。始まりにある、(つまり)起点であるものは必ず終点にある、ていう原理なんです、ループというのは。
だから、Aさんが顕在意識ではもちろんその人に来て欲しいし、採用したいんだけど、やってることの実体でこの不本意な現実をつくっているこのプログラムの根っこは、これ(「拒絶・拒否される」)が起こらないように採用している、採用しようとしている。実際は採用活動じゃなくて、拒絶回避行動なんですよ。活動がね。
で、結局拒否されると思うんですけど、今のままでいったら。

参A)それを、拒否されないためにはどうしたらいいんですか?(笑)

由)それがさっき話した「うまくいかすにはどうしたらいいんだ」的なやつなんで。それがすごい思考で回るのは分かるんですけど、それよりも今大事なのは、せっかくこれ(「拒絶・拒否される」)見つけたから、拒絶されない、拒否されないような経営をしてると思うし、従業員との関わり方をしてるし、人との付き合い方もこれがすごいエンジンになっているところがあると思うので、これを見ちゃったほうが早いですよ。自分の現実を、これが翻弄しなくなるから。
じゃないと今、一番大きいエンジンがこれで回っちゃうと、人間の内側って、この痛みに触れたくないって言うエンジンが回るんですよ。 そうすると実体はすべてこれが優先されているから。この(痛み回避の適合OS)上で何かやってるだけになっちゃうんで、これ(痛み回避の適合OS)だけ「そうなんだね」って受け取っちゃったら、これに自分が自動反応的に扱われる、 自動的に操作されなくなっちゃうから、これ(適合OSを)何とかした方がいいんですよね。

参A)拒絶されたら、また…

由)拒絶される、ってどういう体験ですか?ってまず聞きたいです。 どんな痛みですか、これ。何があったら、拒絶されたになるの?

参A)何があったら…?

由)当たり前なんですけど、人間ってみんな、拒絶って事にある体験は違うんですよね。。Aさん独特のこれが拒絶だ、があるはずなの。 何をされたら拒絶されたになるんですか?

参A)嫌われたら。

由)嫌われたくないんだね(笑)。なかなか大変だな、それ(笑)。
いい人やるしかないですよね、嫌われたくないから。

参A)あぁ、そうです(笑)。

由)だから、最大の克服活動は、「いい人になること」ですよ。
嫌われない。嫌われることが痛み。
何があったら嫌われるってなるんですか?何で嫌われたってわかるの?
(沈黙)
過去に一番痛かった、嫌われた痛みは何ですか?

参A)振られたこととか…

由)あー、「いらない」って言われるのが痛い?「嫌い」が痛い?どんな感じの痛みですか?

参A)「嫌い「より「いらない」。

由)「いらない」が嫌なんだね。 この拒否は、自分の存在の不要性って感じ、いらないって感じ?

参A)そうそうそう。

由)そこになくていいから、て感じが嫌ですか?
(Aさんの反応を見て)今、反応したね。(笑)
これが嫌なんだね。なるほど。じゃあ、必要だって言って欲しいっ、てことですよね。
じゃあ、克服は必要とされるために頑張ってますよね。

参A)そうです。

由)必要とされるために何をしてますか?

参A)必要とされるために…

由)だって、「いらない」が嫌なんでしょ。「いなくていいよ」とか、「いらない」とか。
何してるの?

参A)職場環境を整えるとか、給与体系を他のとこよりちょっとあげるとか、人間関係を良い職場を作るとか、そんな感じです。

由)そっか、じゃあ、「必要だ」って言って欲しいんだね。
じゃあ、今(そのひ人に)「いらない」って言われないために、要はあなたの病院が必要です(って思ってもらうために)、もしくはあなたの病院は私の人生にいらないんですって言われたくないから、その人に対して何してます?
尊重して、いい人って思われるようにして、今その人に必要とされるために何をしたらいいのか、ってがんばってますよね?
これがやってること。

参A)そうです、やっていることです。

由)結果、1ヶ月待ってますよね。で、何が起こりそうですか?(笑)

参A) 拒絶されるが起こりそうです(笑)

由)じゃあどうしたらいいかって(思います?)
ここからそれを感じてみると、何をしちゃってるって思います?
これを冷静に見たときに俯瞰できるかが最初のポイントなんですよ。

人間の顕在意識って全くあてにならなくって、やってると思ってることと、実際に起こっていることとかなり乖離してるんですよね。Aさんの顕在意識は、一生懸命その人を採用しようとしている。実際に起きてることは拒絶されないように頑張っている。結果拒絶されます、たぶん。延命してるけど、そういう未来が待ってるだけなんです。
これを見た上で、本当は何があったらいいと思います?
どういう風にシステムとして動いたらいいと思います?
痛みの回避じゃなかったら、今ここで何ができる?
これ(回避行動)しかやれないから。このエンジンがすごいのは、 これ(回避行動)しかできなくさせるんですよ。この回避行動しかできなくなるから。この幅の中でしか行動が取れなくなっちゃうんですね。突き動かしてるのはこれ(「拒否されたくない」)だけなんです。

参A) ひとつレベルが上に上がれるとしたら…

由)まず、「拒絶されてもいい」っていうところに立ってください、仮に。

参A)「拒絶されてもいい」と。

由)「ノーって言われてもしょうがないんじゃない」ってとこに立ったら、本当はその人に何を表現したいですか。

参A)「その人の選択がその人にとって一番良い方向に行けばいい」くらいの気持ち。

由)そこからもし始まったら、ここで何ができます?
別に、最善の選択をしたらいいんじゃないって。 ノーでもイエスでも結果はどっちでもいいよって。
これがあったら、ここで行動で何ができます?気軽にどっちでもいいよだったら。
そのノーって言われることが拒絶だっていう怖れがなかったら、その人がただ「うちの病院がいいか、他の病院がいいか選んでくれるだけだよね」っていうところに立てたら、その人に対して何をできると思います?
最善の選択で本当にいいっていうとこに立てたら、どんなあり方ができると思います?

参A)「一番いい選択をあなたがされることを祈っています」みたいなメッセージ。

由)今のだと若干、こっち(「尊重する」)にそってる(笑)。

参A)そうですか?(笑)

由)人が最善の選択をするのに何が必要?
(沈黙)
面白いね(笑)。情報いるでしょ?
最善の選択でいいんだけど、僕はうちに来てほしいんですよね。じゃあ何します?

参A)うちの情報を開示します。

由)いっぱいいろんなこと言うよね。普通、口説くじゃないですか(笑)。Aさん、このシステムだと絶対口説かないと思うわ。

参A)口説いてもいいんですかね?

由) どう思います?
実際何してるかは、Aさんにしかわからないから。
このシステムだったら、拒絶されちゃうから、微妙にどっちでもいいよ的に匂わしておいて、本当は来て欲しいんだけどなって思いながらプッシュはあんまりできないはずなんですよ。

参A)プッシュはあんまりしてないです(笑)。

由)だよねぇ。だから、情熱的に口説くってできないと思うんですけど、どうですか?

参A)「情熱的に口説いた方が拒否されるかな」って思って行動しているから。

由)そうでしょ。だからそれ封印されてるよね。
で、今使っているのがこれ(「尊重する、いい人になる、必要とされる」)。このスキルセットだからこれが一番良い気がしてると思うんですけど、始まっている起点があそこ(「拒否されたくない」)だから、どうかなっていう感じなんですよ。
もし拒絶じゃなくて「その人がただ選択するだけだよね」っていう世界に自分がいれたら「僕さ、すごい君のことね、こんなふうに片腕としていて欲しくて、育てたくて、こんなんであんなんで、病院こんな風にしたくて、あんなんでこんなんで、もう来てー」って言えるかもしれないけど、まあ言わないよね。

参A)なるほど、そうですね(笑)。そうなんです。

由)だからこのシステムに載っかっていると、創造性が阻まれるっていう感覚わかります?
痛みってやることをものすごく規定するので、痛みが起きないように言って意識が働いた瞬間に、人間の現実を作るところに関して創造性がなくなるんですよ。
だからありとあらゆる方法でその人にアプローチするなんてことは絶対やらないはずなの。この型(「尊重する、いい人になる、必要とされる」)の何かをやるだけだと思います。でも本当は「押してダメなら引いてみな」みたいな、いろんなやり方がいっぱいあるじゃないですか。「ご飯食べようよ」「あーでこーでうちの病院こんな風にしたいんだよね、僕は君が片腕として最高にいいと思ってるから一緒に働きたいんだよね」みたいなことはやってないよね、っていう感じが漂ってますよね。

参A)やってません(笑)

由)でもやってもいいじゃないですか、本当は。

参A)ほんとはね。

由)それを、Aさんが「本当に最善の選択でいいんだ」ってところに立てたら、そのことに関して、自分もものすごく解放されるでしょ。自分が何ができるのかっていう。
ぜんぜん、好きなことやればいいんですよ。でも痛みがすごいのは、やらせないんですよね。だからやることが決まっちゃうの。避けてるだけなんだもん。避けるって行動はあんまりクリエイティブにはなり得ないんですよ。それを避けるために欲しいものやらなきゃいけないから。避けながら欲しいものを取らなきゃいけないからすごく制約されるんだと思うんですよね。
だからさっきの聞いて面白いなと思っていて。

参A)だけど自分ではそんな分析できないから…

由)でも今、分かったじゃないですか。一個わかったらありとあらゆるところにその根っこが働いてるはずなんですよ。だから、Aさんが病院に帰って現場で見て欲しいのは、「自分がいかに拒絶されない人をやっているか」って見てもらえたら、あっこんな風にいい人やるんだ、って自分のことが分かるんですよね。
これが自己理解に一番大事で、私は自分の痛みを知ることぐらい自分を深く理解することはないと思っているから。
根っこの痛みがわかると、やってることは大体全部はその応用パターンだからね。だからこんなにいい人なんだ、って分かるのがいいんですよ。いい人をやっちゃいけないっていうんじゃなくて、どうしてそういうことをやらざるを得ないのか。これが自動システムなんです。
人間の現実って全部これで紐解けるから。必ず起点が見えるんですよ、不本意な現実を見ていくと。それって面白くないですか?いろんなことが起きるたびに日々これで遊べるじゃないですか。
これでパターン変えちゃったほうが、さっきの傍観者で、描写のああでもない、こうでもないってやるよりもぜんぜん早いんですよ。あーそうなんだって分かったら違うことやったらいいじゃないですか。

参B)ちなみにこの痛みの根源を調べていく調べ方っていうのはあるんですか?

由)これが一番使えると思ってるんですけど。この構造を見ていけばいい。

参B)痛みの種類もあるし、なんで、ってしていったら、今は拒否されたくないからって話だったけど、同じ状況だったとして多分僕だったら違う理由がある。

由)もちろんこのパーツは全然違っていて、あの信念も。
Aさんは、いらない、拒絶されるの奥は「自分はいらない」って言われるのが一番の痛みなんですよね。それって、Aさんは自分はこの世で「価値がない」って言われるのが嫌なんだと思うんです。そこに類型があります。ちょっとその類型は次にやるけど。
基本的には、「愛がない」「価値がない」「ひとりぼっち」あと「欠損・欠陥」って呼んでる「自分は十分じゃない」、っていう4種類がメンタルモデルであるんですけど。痛みに種類があります。

ただ種類を知るよりも、自分のこの構造(適合OS)をなんとなくこういう観点で捉えられるようになると、このことが(大事です)。
Aさんがチェックインで話してくれた時の意識で見ていると、その人が選んでくれるかどうか分かんないんだよね。その不安しかない。これが普通な状態なわけです。運命はその人に預けられています。
源(ソース)っていう、この自分が現実をつくっているっていう観点からこれを見ようとすると、「自分が選ばせてないんだな」っていうところに立つわけですよ。
それを良い悪いじゃなくて、「そうだったら何をしてるんだろう」って見るんですね。まず、「自分が選ばせてないことが完全に自分にとって完璧だとしたら、何してるんだろうな」って見てくっていうところがこの回避行動のところ。 だから、その人に何してきたんだろうって見ていくわけです。それは「何の痛みに触れたくないから、これやってんだっけ」って見ていくっていう。こっちから(回避行動)紐解いていくっていう。

これを自己内省で使えると、良い悪いっていう世界から出れるんですよ。
途中までで全然いいんです。ここでたどり着かなくても全然いいんだけど。でもここで何回かみんなのことは使えるので、痛みの根っこって何本もないんです。ほとんどの人たちは一本しかないんです。だから自分の痛みはこれなんだって掴んじゃえば、全部その派生したものです。だからそんな難しくないんですよ。
ちなみに私のこの一番の痛みの根っこは「人はいなくなっちゃう」です。 だから、みんな何かしらのものが一本あるんですよね。

ここの回避行動が、ものすごい勢いで膨張してるんですよ。そこから能力が上がるんですよ。だから、Aさんはいろんな行動で人のこと尊重できる。ここすごい卓越してるんですよ。
人間の今の根っこはこれ(回避行動)だけです。人生何してるのって言ったらこれ(回避行動)しかしてないです。ここで終わるように人間の発達って本当はできてないんですけど、これで別に棺桶まで行けちゃう感じです。(適合OSを)知らなかったらね。でも気づいていけたらこの先の進化があるので、それをこの後ちょっとやりたいんですけど。基本これ知らないと始まらないんですよ。だって回避行動で埋もれているから、私の人生。
で、これがたわいもないエピソードから分かるんですよ。あーそうなんだって。たわいもない話じゃないですか。そんな深刻なことが起きてるからじゃなくて、構造としてみれたら自分のことをすごく深いレベルでわかって、なんでその現実が生まれるかを全然違うアプローチで捉えることができる。
これ(適合OS)を知らないと何が起こるかと言うと、 せいぜいこの(回避行動の)範囲内でこの人をプッシュするしか、Aさんはできないんですよ。でもこれがわかったら最後さっき言ってた、「やること全部やってみよう」ってやったらいいじゃないですか。僕はこうこうこうだって表現してから拒否された方がいいよねって。そうやって広がるはずなんだよね。
少なくともパターンが変わるから、この現実が変わりうるんですよね。さっき言った、内側が変わらないと現実が変わらないって言っているのはここに起因するって感じです。これくらい深く見ないと。

参C)痛みっていうのは、 3歳以降とか記憶がある痛みなのか、小さい時3歳以前のまだ無意識の中の痛みなのか、それもあるわけですよね。

由)痛みって、年齢を追うごとに同じテーマが繰り返されているんですよ。事象と登場人物は変わるんだけど、痛みの根源的なテーマってその人にとって共通しているものがある、って見ています。
私はずっと分離なの。人がいなくなる、離れていく、ひとりぼっちになる、転校する、みたいなやつなんですよ。ずーっと痛みが延々と。 だから、痛みのテーマはずっと分離なの。別れていなくなっちゃう、離れていっちゃうっていうやつなんですよ。
人によって、なんとなく起こる事象の横軸で見ていくとこれ(痛みのテーマ)が、なんか共通してるんですよね。縦(事象単位)で見てくと、怒り、どんな時に何が嫌だったかとか、この時代にいじめられてたとか、 この時代にこんなことがあったとかあるじゃないですか。縦軸で見てると全く別のことが起きているように見えるんだけれども、横でこのテーマ性を見ていくと、 共通のテーマがその人の痛みの中にあるんですよね。
だから(見ていく時代は)はっきりいえばどこでもいい。今のことでも別にいいわけです。今何が痛いんですか、でぜんぜん構わない。例えば今奥さんとうまくいかないんですよね、みたいなところから痛みが見えたりするし。よく幼児期のトラウマをわからないとなんとかとか言うけど、全然そんなことないと思っていて。ただなんとなく一個見えると、 ここでを過去を思い出すけどね。「あーこういうのあった」みたいなやつ。

参C)フラクタル的な一個が全体を表しているみたいな意味合いですかね。

由)人間の痛みって面白くて、お互いその痛みが「本当にそれ痛かったんですね」って分かるんですよね。だから人間って痛みでつながれるんです。

参C)痛みっていうのは解消できないんですか?

由)解消しようと思わずに、「感じていい」っていうふうにやれると、今の例で言うとAさんが、「拒絶とか拒否されるという体験が自分の人生に別にあってもいいや」って思えたら、これ(回避行動)やる必要なくなっちゃうんですよ。

参C)それを個性として、自分の特性として…

由)個性って言うか(痛みを)選んで来てるんですよ。
おまけにその痛みの裏は、この自分がここで、この世界で何をしたいのかっていうその人の自分の使命につながっているんですよ。これ(この講座の)後半でやります。
私生まれた時からずっとすごい分離なんで、とにかくいつも一人ぼっちっていう感じの人生なんですよね。自分の痛みは「いつも一人にされる」みたいな体験なんですけど。だからこそ、「すべてはひとつで命としてつながっている」っていうワンネスの世界にすごい焦がれるんです。それが自分の情熱なんです。だからこんな仕事をしてるわけです。
だから私は、痛みは選んで来てるんじゃないか説なんです。それは理論がどうだっていうわけではなくて、こういう風に一人一人の人生を見ていった時に、その人がこの人生で本当はどんな世界を見たいと思っているのかっていうのは、痛みを見ていくとその裏にあるんですよね。

参C)そこを選んで生まれてきてるんじゃないかっていう感じ?

由)じゃないかなぁって思って。じゃないと説明がつかないから。私あんまりそういうの好きじゃないっていうか、あんまり企業とか出て行くとそういうこと言えないんですけど、でも明らかにあるんですよねって思っていて。「あー、この人これがテーマなんだね」っていうのあるんですよ。(痛みの)裏面に(その人の使命が)あるから。その痛みが出ると(その人の使命が)分かるんです。
この(適合OSの)システムってどっかで破綻するようにできているんですね。例えばAさんがこのままずっといい人をやって尊重をしていくってやってくと何かがどっかであそこで何か耐えられない状態になるんですよ、システムとして。その時を直面期って呼ぶんですけど、アップグレード期なんです。そのアップグレードされる時に必ずその痛みにつながりなおすんですよね。その後、情熱に転換するっていう時期が来て、その人が違う人生を生き始めるんですけど、そこまでは痛みの回避、ひたすら。それを欠損期って言うんだけど。要は痛みで、「あるはずのものがない」 という状態で、この”ない”の痛みが、みんな何がなかったかっていうのが一人ひとり若干違うんですよね。「つながりがない」って人もいれば、私はつながりなんですけど、「愛がない」っていう人もいるし、「自分はこれでは十分じゃない」って人もいるし、「自分は価値がない」っていう人もいるし、いろんなタイプがここにいるんですけど、何の”ない”が痛みだったかっていうのがみんな違うんだけど、それは同時に「この世に何があるはずなのに」っていう情熱でもあるんですよね。
それが一人ひとり紐解いていくと超綺麗なんですよ、美しいんですよ。「だからこんな痛い思いをしてるのか」っていうのがわかるんですよね。

参D)マイナスがプラスであったりするんですか?

由)つねに陰陽は一緒です、1セットであります。痛みの裏はその人の使命だし、光そのものだし。やっぱり闇と光はセットですよ。
そういう見方ができるようになってくると、起こることに一喜一憂しなくなるって言うのもあるし、現実で自分が体験することのすべてはこの構造を教えてくれているので、見たらいいよねっていうだけなんですけどね。
普通は(それが)ないと、それに翻弄されて、あれ(回避行動)をなんとかうまくやろうとするっていうことでしか人生やらないから、(自己)理解に進まなくて、根っこから変えることができない。
組織の中で勃発する事象をみていくと、 ほとんどこういう経営者のやつをかけていくとなくなっちゃいます。つくっているから、みんなで。集合的に作っているんです、ある意味ね。
なんだろう、いつも不祥事が起こるとか、いつもパワハラが起こるとか、いつもパターンで人がいなくなるのか、絶対なんかあるんです、ここ(起点)に。そこの流れがここで整っちゃうとその事象はあっという間に変わっちゃうから、変えようと思わないうちから変わっちゃいます。本当はその方が効率いいよねって思っています。
内から外を変えるってい技術がまだ定着していないから、経営者いつもあそこでストップしてる。 ここ(回避行動)から上でしか何かをやらないです。行動で何とかしようとするっていう感じ。
でもここ(行動)変えても、ここ(信念が)変わんないと、OSそのものは変わらないからなかなか事象が変わらないです。

たにやん、いい人人生、どんな感じなんですか?(笑)

参A)いやー、その(笑)。だいぶ変ってきましたよ。

由)本当、よかったね。

参A)人に媚び売ってへらへらしている訳ではないですし。

由)いや、尊重するがベースになっているから、すごくそこを大事にしているはずなんですよね。

参A)そうですね。大分、昔よりは嫌な事も言えるようになってきた。

由)よかったね。このモデルを持っていると、(人生の)最初の前半、拒絶されないためにすべてをやってるから。だから人の期待に応えるだろうし、ちゃんといい人やらなきゃいけないからっていう適合を極めていますよね。その後、自分を取り戻していって、本当は自分はどうしたかったんだっけという所につながって、「誰に必要とされなくても本当に自分が必要なのは自分なんだ」、って言うところに立つのが後半だと思うので、こういう進化なんだろうなってよく見えると思います。「誰に拒絶されても僕は僕だから」ってなれたらいいよね。 進化ですよね。